けんぞうの前立腺がん重粒子線治療闘病記

50代会社員が高リスク限局前立腺がんの告知を受けてからの闘病記です

重粒子線照射まで その2 重粒子線治療の説明

当ブログではアフィリエイト広告を利用しています

2020年3月初旬に重粒子線科の受診しました。

治療法検討中に泌尿器科でお願いして一度重粒子線科で治療の話は聞きましたが、治療開始に当たっては初めての受診となります。

 

診察前にX病院の治療体制の説明と健康状態に関する簡単なアンケートがありました。

 X病院の場合、泌尿器科では担当医師が決まっていますが、重粒子線科では担当制は設けずチームで診察に当たるため、診察のたびに違う医師になるということです

また、治療時間(照射時間)については、患者数が増えていることもあり、患者の希望を聞くことはできないということです。

 

担当医師は前回の事前相談の際とは別の医師です。 

事前相談の際に受領したものと同じ説明書兼同意書で改めて治療内容に関する説明がありました。

 

 サムネイル画像

 

少し長くなりますが、治療法を検討中の方には参考になる資料だと思いますので、内容を以下に記載します。

(※は私のコメントです)

 

病気の状態

  • PSA:8.7ng/ml
  • グリソンスコア:4+4=8
  • 臨床病期:cTaN0M0、ステージ1
  • リスク分類:高リスク群

 

重粒子線治療について

  • 前立腺がんに対する標準治療は手術または放射線治療(外部照射または小線源治療)である
  • 外部照射の一つである重粒子線治療もあなたの前立腺がんに有効性を発揮することが期待できる
  • また、前立腺周囲の直腸や膀胱などに照射される線量を最低限にとどめることで、悪影響をできるだけ避けることができる

 

重粒子線治療の流れ

                 診断・病巣の把握

                             ↓
                    固定具の作成

                             ↓
          治療計画用CT撮影・MRI検査

                             ↓

                       治療計画

                             ↓

              照射野確認・線量測定

                             ↓

                           照射

  • 照射は1日1回、週4日(原則として火曜~金曜)で計12回
  • 1回の線量4.3Gy(RBE)で総線量51.6Gy(RBE)

 

照射に際しての処置・準備等

  • 尿の量を一定にするために照射の一定時間前に排尿をする。カテーテルを利用して膀胱内の量を一定にする処置を行う場合がある
  • 直腸内に便やガスがない状態を維持して治療を行うため、下剤や浣腸により排便をコントロールすることがある。
  • 重粒子線を病巣部に集中させるため、ベット上で固定具を装着し体の位置を固定する
  • 治療室に入っている時間は20~30分で照射に要する時間は5分程度

 ※治療時間は短いけど、排尿・排便コントロールが大変そう

期待される有効性

  • 5年間のPSA非再発率は、低・中リスク群で90~95%、高リスク群で85~90%程度
  • 5年間の原病生存率(前立腺がんで死亡しない率)は、すべてのリスク群で95%以上

 ※10~15%は再発するということですね(汗)

治療に伴う有害反応

  • 治療開始後3か月以内に出現する早期反応と3か月以降(時に数年後)に発生する晩期反応がある
  • 一般的な早期反応20項目と晩期反応40項目程度を列記
  • 発生頻度の高いものまたは頻度は低いが起きた場合重症になる可能性の高いものは以下のとおり

 

直腸出血

  • 多くが1~2年の間に発症し、持続する症状の発症割合は1~3%程度
  • ほとんどの場合無治療または内服治療など軽微な治療で改善するが、レーザー凝固や人工肛門増設など外科的処置が必要になる可能性もある

 ※割合は少ないものの人口肛門というのはちょっと怖いですねえ

頻尿・排尿障害

  • 治療中から生じうる合併症で最も多く、7~8割の患者が自覚する
  • ほとんどの場合無治療または内服治療で軽快回復し、通常1か月程度で治療前の状態に戻る

 

血尿

  • 多くが1~2年以上経過してから発症し、持続する症状の発症割合は治療後5年で5%以下
  • 重症の場合はレーザー凝固や尿路変更など外科的処置が必要になる可能性もある

 

皮膚炎

  • 放射性皮膚炎と呼ばれる症状がでることがある
  • ほとんどの場合無症状か軽い日焼けのような症状で済む

 

性機能障害

  • 手術に比べ可能性は低いが、放射線により前立腺付近の神経や血管に障害が生じ勃起障害が生じることがある。
  • また、精液の減少が起こる
  • ホルモン治療を併用する場合は、ホルモン治療によっても勃起障害が引き起こされる

 その他の有害反応

  • 2次がん(治療後に診断された新たながん)や心筋梗塞、脳梗塞などが生じる可能性もあり、重篤な場合には生命に影響する
  • 一般に糖尿病や膠原病を合併している場合、血液をサラサラにする薬を内服している場合に有害反応が起こりやすい傾向がある

※2次がんについては少し発生頻度や対処法などもう少し詳しい説明が欲しいです

代替可能な治療

手術
  • がんが前立腺内にとどまっている限局がんの場合は高い確率で治癒が期待できる
  • 万一がんを取り切れなかった場合には手術後に放射線治療を行うことで治癒が期待できる場合もある
  • 生存率等の比較で最近の放射線治療と明らかな差はない
  • 副作用として、尿漏れ、性機能障害、下肢浮腫などが生じる可能性がある
  • ロボット手術であっても放射線治療に比べ身体への侵襲性は高く、年齢制限もある
  • 緑内障があると実施できない
  • 入院期間は数日から数週間

 

X線による放射線治療
  • 大きく外部照射と小線源治療に分類され、特に低リスク群においては治療効果が良好で重粒子線治療との差はないと考えられている
  • 重粒子線治療の副作用と同様の副作用が起こりえる

 

外部照射
  • 前立腺に集中した照射が可能な強度変調放射線治療(IMRT)が一般的
  • 照射精度を高めた治療法で、より短期間で治療が行える定位放射線治療(SBRT)という試みも行われているが、現状ではまだ副作用の頻度がやや高い
  • 中リスク及び高リスク群に対する治療ではホルモン治療や照射線量の増加によって治療成績の改善が図られてきているが、特に高リスク群に対する治療成績はまだ十分ではない

 

小線源治療
  • 前立腺組織内に放射線の線源を挿入してがんを治療で、特に低リスクの患者に適している
  • 線源を挿入するための手術が必要だが、全摘出術に比べ負担は少ない
  • 中リスク以上では外部照射と併用で行われる場合がある
  • 線源の留置を短時間にできる高線量率の小線源治療(HDR)では高リスク群に対しても良好な成績が得られているが、線源を挿入するための施術の際に数時間~数日に渡り体位を維持する必要がある

※トリモダリティ(小線源+外部照射+ホルモン)の説明はないんですね 

ホルモン治療
  • 治癒することはないといわれている治療法であるが、数年~1年以上に渡ってがんを抑えることができる
  • 性機能や筋力の低下や、ほてり、のぼせ、発汗といったホットフラッシュと呼ばれる副作用が比較的高頻度で認められる
  • 骨粗しょう症を併発するリスクもある

 

無治療経過観察
  • 低リスクの中でも特に再発のリスクが低い患者で、特に高齢の場合は勧められる

 

治療を行わなかった場合
  • 病状が進行し排尿障害などの症状が悪化することが考えられ、骨に転移しやすいため疼痛の原因となる可能性がある
  • 一方で前立腺がんは進行が遅い場合が多く、症状なく経過し天寿を全うできる可能性もある

 

ざっと以上ですが、少なくともこのくらいの説明を治療法選択前に受けられたらよいのになあと思います。

 

それから、この記事を書くにあたり、ネット検索をしていたら大船中央病院放射線治療センターのHPに詳しい治療法の開設が掲載されていましたので紹介しておきます

 

社会医療法人財団互恵会 大船中央病院ウェブサイト

 

私が治療法選択で悩んでいるときには見た記憶がないのですが、その後に設けられたのか、私の検査の仕方が悪かったのか...

いずれにしても治療法選択でお悩みの方には参考になると思います。

 

 

※本ブログは医学の専門家ではない一患者の治療記録です。可能な限り正確な情報を記載するよう努めていますが、必ずしも正確性や安全性を保証するものではありません。当サイトをご利用することで発生したトラブルに関しては一切の責任を負いかねますのでご了承ください。