検査の結果、転移は認められなかったものの肩のあたりに疑わしい部分があり、重粒子線治療を選ぶのであればMRIで詳しく調べる必要があるということで、追加のMRI検査を受けることになりました。
年末年始をはさんで検査まで2週間ほどあったので正月気分もそこそこに書籍とネットで情報収集を継続します。
調べていくと、だんだんと色々なことがわかってきました。
各種情報源
書籍は8冊ほど読んでみましたが、その中で特に参考になったのは次の2冊です。
前立腺がん診療ガイドライン2016年版 日本泌尿器科学会編 メディカルレビュー社
結局は学会で認められている診療の考え方はこれにまとめられているということでしょうか。
専門家向けですから専門用語やアルファベットの略号が多いですが、慣れれば素人でも理解はできると思います。
注)前立腺癌診療ガイドラインは2023年11月に改定されました(2024年1月22日更新)
前立腺ガン最善医療のすすめ 藤野邦夫著 実業之日本社
著者はフランス文学者であり前立腺がん体験者でもあるということで、医療界でない立場で書かれており、大変参考になりました。
ネットでも患者の皆さんの多くが参考にしているようです。
高リスク限局がんに対しトリモダリティという治療法があることもこの本で初めて知りました。
前述の診療ガイドラインを見てみると、ちゃんと高リスク症例に推奨される治療法として書かれているではないですか。
結局医師の方は全摘出手術、X線治療、小線源治療など専門分野が分かれており、医療界が書いた本は各専門医が分担して書かれたものが多く、横並びの評価が良くわからないですね。
逆に全体を網羅した本の場合は当たり障りのない概要書になってしまうのですが、この本は著者の主観によるものかもしれませんが、リスク分類ごとに各治療法についての評価がズバリと書かれています。
そしてネットでは圧倒的に次のサイトです。
NPO法人「腺友倶楽部」サイト
前立腺がん情報発信サイト「腺友ネット」
前立腺がんの情報収集に苦労をされた経験から武内会長が2014年に設立をされた前立腺癌患者と家族の会が「腺友倶楽部」です。
そして「腺友ネット」の方は腺友倶楽部の武内会長が個人的に運営されているサイトということで前立腺がんガイドブックを中心に各種の情報源へのリンクが貼られています。
必要な情報源へのリンクも設けてありますのでネットの情報はこのサイトだけで十分という気がします。
なんでもっと早くたどり着かなかったのか不思議なのですが、どうもグーグルの検索アルゴリズムとかが関係しているのか、検索の上位には出てこなかったようです。
患者のブログも検索して出てこないので少ないのかと思っていましたが、実はたくさんあることが分かりました。
これもやはり検索アルゴリズムの問題なのでしょうか。
他人の命を左右するようなテーマなので、医療の専門でない患者の発信する情報などは、根拠の明確でない情報として上位に提示はされないのかも知れません。
セミナーの講演動画へのリンクも多く、これは本当に参考になります。
泌尿器科vs放射線科
体験してみて分かりましたが、手術は泌尿器科、放射線治療は放射線科の所管なんですね。
患者の入口は泌尿器科なので、まずは泌尿器科の医師の説明を聞くことになるわけですが、そうなると泌尿器科の専門である手術を勧められるということも多いのでしょうか。
放射線医の方のセミナー動画によれば、日本では米国など海外に比べ手術を受ける人の比率が高いそうです。
常勤2名の放射線治療医がいないと放射線治療ができないという国の基準があり、それを満たせる病院が限定的だという説明もありました。
そんな事情もあり手術でも放射線治療でも選択可能な場合は手術へ誘導するということもあるのかも知れません。
治療効果比較データ
これまでみてきたような診療科の区分や医師の専門分野の違いなどの理由なのか、結局全ての治療法を横並びで比較したデータはほとんどないということが分かりました。
おそらく公開されている唯一の資料がこちらになります。
ただ、米国のデータがベースになっているようですし、粒子線治療については陽子線治療のデータが少数あるだけで、特に高リスクについては陽子線治療のデータも含まれていません。
医療メーカーのサイトに紐づいているというのもやや気になります。
トリモダリティ
小線源治療、外照射治療およびホルモン治療を治療法を組み合わせた治療法で、3つのモダリティ(治療)を組み合わせるのでトリモダリティというそうです。
前述の「前立腺ガン最善医療のすすめ」でも高リスクがんに対する治療法としてはすすめられています。
また、腺友倶楽部のメーリングリストでも支持する会員の方が多いようです。
私が通院している病院はそもそも小線源治療はやっていないので、トリモダリティを受けたければ別の病院をさがす必要がありますし、そもそも実施している病院はかなり限られているようです。
性機能喪失について
私は一応年相応の性機能は維持しており、これを失うということがどうも具体的にイメージできません。
もちろんこの齢でこれから子作りの予定はありませんし、カミさんとも長年連れ添い既に枯れた関係になっています。
ただ、射精によるエクスタシー感じることができますし、今後の人生で新しい女性との出会いが全くないとも言えない、というか、ないと決めてしまうのは寂しいという気はします。
中々繊細なテーマなので実体験に基づく情報は本当に限られていますね。
いろいろ分かってくるとセカンドオピニオンを聞きたい気持ちが高くなってきました。
※本ブログは医学の専門家ではない一患者の治療記録です。可能な限り正確な情報を記載するよう努めていますが、必ずしも正確性や安全性を保証するものではありません。当サイトをご利用することで発生したトラブルに関しては一切の責任を負いかねますのでご了承ください。